本日は経済学概論の最終日で、授業の最後はかなりバタバタになりましたが、何とか(形だけは?)
ブラック=ショールズの方程式(オプションの価格を説明する式)まで行きました。
ブラック=ショールズは最後は熱伝導方程式タイプの微分方程式に帰着して、そこに境界条件を与えて(ヨーロピアン・オプションなら与えられる)解く、というものなんですね。金融工学の分野で理系の院卒が活躍するというのもわかる気がします。
私の理解が及ぶところでブラック=ショールズ方程式についてまとめると、
<仮定>
・微小時間の株価の推移は、(幾何)ブラウン運動と呼ばれる(乱暴に言えばランダムな)動きをする。
<導出方法>
1.投資家が現物の株とオプションを買ってポートフォリオを組んでいる。
2.ポートフォリオの価値の微小変化量(⊿V)は、現物株価の微小変化(⊿S)とオプション価格の微小変化(⊿f)を用いて表せる。
3.オプション価格(f)は現物株価(S)の関数である。その場合”伊藤のレンマ”によりオプション価格の微小変化(⊿f)はオプション価格(f)の時間(t)と現物価格(S)の微分によって表現できる。
4.これによってポートフォリオの微小変化量(⊿V)の式を整理してみると、微小時間(⊿t)の間は不確実性がない安全資産になっていることがわかる。(つまり現物とオプションが完全に負の相関関係があるとみなせる)
5.一方で、国債などの安全資産で運用した場合の⊿Vsも考えることができ、これらは等しくなくてはいけない(等しくなければ両者の間で裁定取引が働き、等しくなる)。
6.つまり、4.での⊿Vと5.での⊿Vsは等しいとおける。これを整理すると微分方程式ができる。これが
ブラック=ショールズ方程式である。
<微分方程式の解法>
7.τ=T(満期)-t(時間) という変数変換をすると、(解析的に解ける)熱伝導方程式タイプの偏微分方程式に変形することができる。
8.境界条件:ヨーロピアン・オプションを考えると、満期Tでのオプションの価値は満期での株価(St)-行使価格(K)もしくは0(ゼロ)である。
9.結局、7.の熱伝導方程式を8.の境界条件のもとで解いて、オプション価格を求めることができる。
いや、なかなか難しい。流れだけつかんで細かいところはとりあえず目をつぶりました。。
しかしこの公式を使って、現在の株価や行使価格、リスク等を適当に設定すると、EXCELでオプション価格を求めることができます。
(標準正規分布の累積分布関数は、EXCELの関数「NORMSDIST」が用意されている)
なので何も中身を理解していなくてもEXCELでブラック=ショールズを”使う”ことは可能です。