今日の「グローバルビジネス」は事前に渡された日産とルノーとの戦略的アライアンスについてのHBSのケース教材を読んで、ポイントの整理とディスカッションでした。
日産とルノーは1999年に競合同士でありながら包括的にアライアンスを組み、それがうまくいっている数少ない例です。日産はルノーから資金面の支援、購買コスト低減のノウハウ、南米等へのチャネルを得て、ルノーは日産から工場効率化のノウハウ、品質管理手法、CVTなどの技術、アジア・アメリカへのチャネルを得ています。
そのようなアライアンスについて皆で見ていった中で出たカイゼンの話。
日産(日本)とルノー(フランス)では文化がかなり対照的に異なり、それはともすれば衝突を生みます。
特に日産工場の高効率をルノーに”移植”するために行われたトレーニングは非常に細かいもので、ドライバーを使う時の右手と左手の使い方、といったものにまで及んだようです。それだけ日本人は細かい。
一方でフランス人はどちらかというと、概念的、マクロ的な見方を好み、自由を好みます。そのため日産で行われているような標準化は自由を奪われるものとして反発があったわけです。
しかし、やっていくにつれて標準化は自由を奪うのではなく、むしろ自分たちのアイディア等を落としこめる枠組みだと思えるようになっていきます。それは何故でしょうか?
そこにはカイゼンという、継続的・漸進的な改良プロセスがありました。
作業の標準化というものはミスを減らして品質を安定させるという効果がありますが、カイゼンの成果を測るためにも重要な役割を果たします。作業のやり方がバラバラであると作業効率が下がったり上がったりした時にその原因がわからないからです。
そして標準化された作業は改善の余地があれば話し合い、トライし、カイゼン効果が認められれば変えることができます。ここに自由さがあるのです。ドライバーを使う時に左手はこう使えと言われますが、もっと良いやり方があれば変える自由があるのです。つまり標準化はカイゼン・プロセスの中でのダイナミックなものなのですね。
パッと聞いただけでは相反する標準化と自由がうまく融合している例でした。