今、
「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか 」を借りて読んでいます。これが面白い。
いろいろな思い込みの罠を暴いてくれます。まだ読み途中ですが一例を挙げると、
確率と期待値の罠
・市場が70%の割合で上昇する。これが正しいとわかっている時、投資すべきか?
・ジム・ロジャース(著名な投資家)曰く、
「オプションは貧乏人への近道だ。オプションについて調査したところ、90%が損のまま行使期間切れしたという結果が出ている」
オプションは使うべきでない?
では、ここでもうひとつ質問をしよう。
「1000発分の弾装がある銃に1つだけ弾丸を入れてロシアンルーレットをする。弾に当たらなければ1ドルもらえる」
このゲームはするべき?
リスクを考える時にはその大きさも含めたもの、つまり期待値を考えなければ意味がない。
生存バイアスの罠
・ここ数年でとんでもなくリターンを得た投資家がいた。この投資家がとった戦略はうまい戦略なのか。
・ある猿をタイプライターの前に座らせたら名作を作り上げた。この猿は天才的な猿なのか?
-タイプライターの前に座らされた猿は何匹いたか。10億匹の10億乗くらいの猿を並べていたならでたらめに叩いた内容からたまたま名作ができるのは不思議でない。
-ファンドマネージャーが1万人いたとする。全てのファンドマネージャーが五分五分の確率で1年後に1万ドル儲ける(もしくは損をする)とする。すると、5年続けて1万ドル儲け続ける”カリスマ”マネージャーが313人誕生する。全くの運だけで。
見たことのない災難が起こらないと考える罠
どうして過去に起こった最大の災難以上の災難は起こらないだろうと考えるのだろうか。
「過去最大の災難」(例えばブラックマンデーの暴落)が起こった時を考えてみよう。ブラックマンデーより前には「ブラックマンデー級」の出来事は起こっていなかった。しかし、実際には起こった。このようなことがこれからは起こらない、ということをなぜ仮定してしまうのか?
著者は何も成功した人のすべてが運が良かっただけ、と言っているのではなく、
・ランダム性を過小評価していないか?
・見ているサンプルにバイアスはかかっていないのか?
といったことの問題提起をしているという内容です。その皮肉り方が痛快なのですが。読み途中ですがオススメです。