消費の経済学
・消費者の効用極大化行動
効用とは人が消費活動を通して得られる満足感、幸福感。同じモノの消費を続けるとそれから得られる幸福感は段々少なくなる(一杯目のビールはおいしいが2杯め以降段々おいしくなくなる、というような)法則を限界効用逓減の法則という。理系的に言えば(?)効用の消費量に対する微分が反比例のグラフ的に段々小さくなるということ。
予算制約線とは、ある決まった予算下で購入できるモノの個数の範囲(の境界)を示すもの。100円のリンゴをX個、300円のビールをY個買う時、予算が3,000円なら
100X+300Y=3000
で表される直線よりも原点より(かつX≧0、Y≧0)の範囲が購入できるリンゴとビールの個数群を表す。
無差別曲線とは、効用が同じであるモノの消費の組み合わせを結んだもの。一般に反比例的に凹む。直線でないのは、2つのモノがあった時、バランスをとって消費した方が効用が高いことが多いと考えられるから。
消費者は予算制約線で区切られる境界の中で最大の効用を求めた行動をする、と仮定する。このようなモノの組み合わせはどの点になるかというと、予算制約線と無差別曲線の接点となる。
・財
所得が増えると予算制約線が原点より遠ざかる。そのため通常であれば消費者の効用が極大になる点(無差別曲線との接点)はモノ(リンゴやビール)の個数が多い場所に移る。しかし、無差別曲線の形状によっては所得の増加すると返って効用極大時の個数が減るケースもある。
前者のように所得の増加と共に需要が増加するものを「
上級財」(通常財)、
後者のように所得の増加と共に需要が減少するものを「
下級財」(劣等財)と呼ぶ。
なお所得の増加に対する需要の変動を
需要の所得弾力性と呼ぶ。
(dD/dI D:需要、I:所得)
ある商品の価格の増減につれて需要が逆の動き(日本酒の価格が上がると焼酎の需要が増える)をするものを
代替財という。
ある商品の価格の増減につれて需要が同じ動き(パンの価格が下がると(パンの需要が増えるので)バターの需要が増える)をするものを
補完財という。
・労働の認識
経済学では労働は負の効用であるとみなし、金銭的代償として賃金を要求するという見方をする。
それに対して経営学では労働自体をいかに正の効用に転換するか、という点に取り組んでいる。
最後の労働の認識は面白いですね。確かに現実世界ではどちらの見方もしていると思います。賃金交渉では経済学の見方で会社と交渉し、日々の仕事への悩みに対しては経営学的なアプローチで取り組むような気がしますね。