今回はいつもと少し趣向が変わって、プレゼンテーションはなく4本の論文を事前に読み、要約を作った上で内容についてディスカッション。テーマはリーダーシップです。
Reading & Summarising AssignmentはHBR(Harvard Business Review)に掲載された次の4つ。
-知的リーダーの肖像 松岡正剛
-明確なメッセージが人と組織を動かす ジョン・ハム
-優れたリーダーは自分の「持ち味」を管理する ロバート・ゴーフィー
-リンドン・ジョンソン 理想のために権力を求める ロバート・A・キャロ
編集工学研究所所長である松岡正剛さんの話は、様々な知をその時々の文脈に合わせて編集することの大切さを説いた話ですが、なかなか難解に感じました。
教授いわく、この「編集」は、ビジネスにおける必須スキル「情報の収集、分析、編集、アクション」の「編集」に当たる部分だと。
知を各分野にためておくだけではだめで、これらを編集してメッセージを発信していくことがリーダーには求められるとの主張です。
4つめのリンドン・ジョンソンについては非常に興味深いものでした。
リンドン・ジョンソンは第36代アメリカ合衆国大統領ですが、その地位に着くまでにはあらゆる手段を使って権力を追い求めます。その一例を挙げると、
・政敵がいると相手の弱みに漬け込んでキャリアをつぶす。
・どこへ行っても大きな権力を持ち、息子がいない、孤独な年長者を見つけて「自分はあなたを新しいお父さんのように感じている」と繰り返す(「プロの息子役」)。
例えば、
・権力のある上院議員の孤独に付け込むため、毎日一緒に食事をする。
・その人が好きな野球の観戦に(自分は全く興味がなかったが)出かける。
・その人を「大先生(オールド・マスター)」というあだ名をつけて呼び、おだてる。
などなど。
このように人をたらしこむことは、本学の学生が一番苦手とするところだと教授はおっしゃっていましたが確かにそうかもしれません。
ジョンソンのすばらしいところは権力を得るだけで終わらなかった点です。権力を得た後、ビジョナリーに変身し、公民権法を成立させるという偉業を成し遂げるのです。
しかし、最終的に偉業達成まで行ったから良かったものの、何らかの理由で途中で断念せざるを得なかった場合(大統領になれないなど)、単に嫌なタイプの人物で終わってしまう気がします。そう考えると何かのためのプロセスと分かっていても、ここまで割り切って行動してよいものかどうか。自分ではそうできない気がします。