今、自分の勉強のために
「科学経営のための実践的MOT」という本を集中的に読んでますが、そこに多言語の語学スキルを身につける重要性に触れてあります。語学といっても英語や中国語ではなく、組織ごとに話される言語です。
この書籍ではプリンタビジネスを例にとって(これはきっと著者のHugo Tschirkyさんが長いことキヤノン・ヨーロッパの社外役員だったことが影響しているのでしょう)書いてありますが、
・研究開発部門(R&D語):認知コード=製品技術(ここではバブルジェット技術)
64個のノズル/ヘッド、加熱サイクル3,000回/秒
・生産部門(生産語):認知コード=生産技術(バブルジェットプリンタヘッド生産)
グリッドサイズ、エッチング技術、稼働サイクル
・マーケティング部門(クライアント語):認知コード=顧客の利益
解像度1,200dpi、ノイズレベル<40db、写真品質、280ドル(価格)
・財務部門(財務語):認知コード=企業の価値
NPV、戦略的ビジネス、他社との提携(OEM)
という具合です。
組織間のコミュニケーションギャップを克服するためには、これらの”他言語”を習得し、例えば研究開発上の問題点を生産、マーケティング、財務の面で解釈する能力が重要だと説いています。
この、いろいろな言葉を話せるようになる、という比喩は私が自社に対してMOTの意義を話すときにも使っていましたが、MOTの一つの目的と言えるでしょう。
それと同じ話と思うのですが、私が物理系(超伝導)の大学院を卒業し、ITの世界に就職するという時、教授から
「君は
トランジスタ型人間になりなさい」
と言われたのを覚えています。
学部の時のmechanics(航空学科)、院の時のphysics(超伝導)、そして仕事でlogic(情報通信)と進むことにより3つ目の足を伸ばす、という意味です。そして今はこれらの技術を束ねる意味も込めて技術経営。上のトランジスタの絵で言えば灰色の半導体部分に当たるでしょうか。
3本の足ほど長く伸びないまでも、各分野の言語を操り、それこそトランジスタのように増幅した結果を出したいものです。