いよいよ大詰めとなってきた俯瞰経営学ですが、今回のテーマは次のようなものです。
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選択してこれまで研究してきた企業に対してこれまで学んだ全てを駆使して最終的な経営改革の提案を行う。
ただし、
(1)営業利益率を8~10%に上げることが目標
(2)アクションプランとそれに対する阻害要因の解決策を含む
(3)改革後の3年後の時価総額を算出
(為替10%円高、金利1%上昇を仮定)
とする。
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これまでの総括ともいえるチャレンジングな課題です。疲れている体と心(笑)に鞭打ってグループワークです。
A社を研究対象としていた我々のグループが最終的に発表したコンテンツは次のようなものです。
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1.改めて、A社の現状
1-1 A社の営業利益の状況
1-2 グローバル優良企業との比較
2.問題点分析
2-1 A社のSWOT
2-2 オポチュニティーアセス
事業セグメント×地域→市場成長率
2-3 事業分野別の現在の業績
現状営業利益率、売上の伸び、営業利益率の伸び
2-4 事業分野の選択と集中(Go/No Go)
市場機会、現時点の利益率、売上・利益の成長
2-5 改革後の事業構成(目指す姿)
3.経営改革策
3-1 不採算事業整理
3-2 高収益事業拡大
M&A
3-3 ○○ソリューション事業注力
強い事業同士でのシナジー事業
3-4 改革を進めるための人事・組織
SBU、トップダウン、外部の風、フラット
4.改革後の姿
NPV、時価総額試算
5.まとめ
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A社の現状の利益率から考えると営業利益率を3年で8%以上にするのはかなり困難です。内部情報をあまり分からない状態で短期間でのV字回復策を立てるためにはやはり、
・事業のリストラクチャリング
・強い事業のM&Aを用いた拡大
の手段を採らざるを得ない面がありました。
例えば過去何年も営業利益率が1%低迷していた事業が、ある施策をとる事によって突然(3年のうちに)営業利益率が10%になる、というのは言ったとしてもどうも薄ら寒いものを感じてしまいます。
それよりは低迷事業を売却して、残ったもともと営業利益率が10%くらいあるものを拡大する、と言ったほうが現実味があります。逆に言えば外部からの目では多かれ少なかれ事業単位での再編くらいしか有効な策は見えないのかもしれないと思いました。
結果、A社は3年後に売上高は落とすものの営業利益率は8%越えをするというシミュレーション結果を算出しました。これには当然事業売却やM&Aなどの困難な課題も含みます。
これを「やるのは難しいね」と切り捨てるのは簡単ですが、ではより現実的な対案はあるのか?という点がポイントだと思います。
特定の企業に限った話ではないですが、誰も検証できない内部情報をもとに悪戯に自社の論理を押し通してないでしょうか。いかにフィージビリティのある経営策を対外的に説明していけるか、これから逃げてはいけないのだと思います。