今回も引き続き製造業A社のケースです。今度は買収についてです。
投資銀行に勤めているB氏に対して海外の投資ファンドから買収対象企業の調査依頼が来て、A社を対象企業として提案するという想定でその提案シナリオを考える、というものです。
今回はA社経営企画の方を招いてその方たちの前で買収提案を発表する講義となりました(苦笑)。
カバーすべき内容としては、
1.M&Aの手法の長所、短所整理
2.買収防止策の手法の長所、短所整理
3.A社買収のメリット(企業価値増加の可能性)
4.提案する買収の枠組み(現金、株式交換その他)とその買収価格
です。
グループの提案としては、
1.TOBの規約にひっかからないような割合を大株主から取得する算段をつけておいて
(TOB並みのプレミアムを付加)、
2.株主総会直前に実際に取得
3.株主総会の特別決議で経営革新策(一言で言えば不採算事業の営業譲渡)を決議。
というようなシナリオを立てました。(実際のところ本当に手法に問題がないかはやや不安。もちろん仕組的にOKでも乗り越えなければいけないポイントはいくつかあります。)
発表は我々のグループ以外からも次々と買収策が提案されるわけで、A社の方々は、
「公開情報のみから1週間でこういろいろと買収策を考えられると嫌だねぇ。」
と言った趣旨のことをおっしゃられていました。(その時はまだ有効な買収防衛策を整備していなかったとかなんとか。)
しかしながら外資の買収を恐れていたずらに買収防衛策を取ればいいというものではありません。企業は資本コストをかけて資金調達をして事業をやっている以上、弛まざる株主価値の向上は責務である認識が必要です。この点についてはこの講義の最終回に、ブルドッグとスティールのケースで見てみることになります。
M&A手法
買収防衛策