山本先生の東大用モジュールの1つ目はMOT総論です。前も書きましたが講義ではそのモジュールは使わずに毎回徒然に話を進めて行きます。
総論ではMOTの定義を「技術の市場化を考える学問」と定義して、技術と市場との間に立ちふさがる技術の関門(●性能●波及効果●標準化●信頼性)と市場の関門(●経済性●金融・投資●政治・規制●文化障壁●経営課題)をどう越えていくか、という話を扱っていきます。
一般の経営学と比較した特色はやはり技術を分析の対象とするところです。
技術戦略立案・実践ステップとしては、経営ミッション設定から、環境分析→マクロドライバー抽出→ドミナンツ抽出→ターゲット新製品想定→デタミナンツ抽出→機能要件リストアップ→機能要件具体化→技術課題抽出・・・といったフレームワークが紹介されていますが、例えば「機能要件リストアップ」といっているフェーズでは、未来市場の市場セグメントごとに機能要件を挙げ、それらの機能要件に重みづけをし、技術的に機能要件が達成される時期を推測し、既存製品との代替率を考慮した上で未来製品市場予測カーブを作ったりするようです。
また扱う分野もいわゆるR&Dとその製品戦略のみでなく、財務であれば設備投資や買収、人事であれば技術系人材開発、営業では商品企画、商品開発、ITシステムといったところを対象とします。
これら各部署の中での課題だけでなく、「経営戦略と技術戦略の整合化をどうすればよいか」というテーマがMOT経営コンサルティングの主要な課題にあるようで、技術をコアにして事業をしていく企業にとっては研究開発部門に技術を任せて製品になるようないい技術ができるのを期待して待つのではなく、経営戦略に応じた技術戦略をトップダウンで推し進めていく必要があるでしょう。
私が興味があるのは技術評価の点。新技術の事業性評価、テックベンチャーの探索とその技術評価、研究予算配分適正化のための技術評価などといったところです。有効なフレームワークを作りたいものです。